Tako can fry!

とほほ・・・

消えたスマホの謎

スマホが見あたらない。
タツに入ったまま寝てしまったようで、時計を見ると早朝の 4 時を回ろうとしていた。
そこらじゅうにシャツやらズボンやらが脱ぎちらかされているのを見て、昨晩飲んだくれたことを思い出す。
酔っぱらって帰ってきたときのいつもの風景だが、ただひとつ違っていた。


やっぱりスマホが見あたらない。
鞄の中にもズボンの中にも、ましてやゴミ箱の中にもどこにも見つからない。
どこかでなくしたんだろうか。
ずいぶん酔っ払っていたし、どこでどうなくしたかもわからないし、そもそもどうやって帰ってきたかさえ思い出せない。


たまらず外に出て、家の近くにスマホが落ちていないか目をこらし始める。
しかし、辺りはまだ暗く、足元もよく見えない。
だいたいこの近所は街灯が少いんだよなあと思いながら、ふとタクシーの中からながめた街灯を思い出す。


タクシーに乗って帰ってきたんだった。
ベロベロに酔いながらタクシーに詰め込まれたことを回想する。
ああ、しかし、どこで降りたか覚えていない。
結局、外にはスマホがないと確認しただけに終った。


家に戻って、とりあえず自分のスマホに電話をかけてみた。
外に飛び出る前にまず試すことだったろうに。
もしかしたら部屋のどこかでスマホがなるかもしれないと淡い期待を抱きながらかけてみるも、やはりスマホは鳴る気配はなかった。
念のためもう一回かけてみると、一回目と違って全くつながらなくなってしまった。
「もしかして誰か拾った奴がいて、そいつが電源を落としたのでは?」と疑心暗鬼にかられて、スマホをなくしてしまったことをいよいよ実感する。


それにしても気分が悪い。
この日も最悪なパターンで、朝方に目が覚めるとそれから何時間にもかけて吐き続けるゲロ地獄が始まった。
この地獄が悲惨なのはひたすら吐き続けた挙句、下からも出ていくことで胃腸の中が空っぽになり、多分二日ぐらい食事を抜いてもここまで空腹にはならないだろうというぐらい、気分が悪いのにもかかわらずひどい飢餓感を覚えるのである。
だいたい 20 分置きに朝の 10 時ぐらいまで吐き続けて、吐き疲れて気を失うようにようやく眠れるのである。
そのパターンにハマってしまう前に、朦朧とする意識の中でかろうじて回線を停止して最悪の事態を防いだつもりだったんだ・・・